1ヶ月に一度算定できる歯科衛生士実地指導料ですが、患者さんにお渡しする用紙に一言コメントを書いていますか?
私の勤務先では必ず一言書いているのですが働き始めたばかりの時はどんな風に書いたら良いのか分からず記入に時間がかかっていました。
しかし毎日繰り返しているうちに書き方のコツをつかんできたので、今回は新人さん向けに歯科衛生士実地指導用紙のコメントの書き方についてご紹介したいと思います。
コメント欄で記入するのにオススメの内容
磨き残しが出やすい部位
磨き残しが出やすい部位は歯頸部・歯間部・咬合面です。
さらに舌があって磨きにくいこともあり、歯頸部は頬側より舌側のほうが残りやすい傾向があります。
しかしすべての患者さんに当てはまるわけではないので、1番良いのは患者さんの口腔内を染色液で染め出し、赤く染まった部分を伝えましょう。
歯ブラシの使い方
歯ブラシの持ち方
鉛筆を持つときのように歯ブラシを握ることがポイントですが、患者さんの中にはグー握りをして力強く磨いていることがあるので、持ち方が間違っている場合は正しい持ち方を書き記しておくといいでしょう。
歯の磨き方
大きく歯ブラシを動かして磨いても細かいところが綺麗にならないので、一歯ずつ磨けるように小刻みに歯ブラシの毛先を動かすことが大切です。
また歯ぐきが赤く腫脹していたり歯周ポケットが深い方には毛先を少し斜めにして歯ぐきと歯の境目を磨く(バス法)ように伝えると、より歯周ポケット内のプラークが除去できるのでオススメです。
強く磨きすぎている方には歯ブラシの毛先が少したわむ程度、歯面に当てるだけでよいと理解してもらいましょう。
歯ぐきの状態
歯ぐきの腫脹、発赤、出血、傷がある場合はしっかり書きましょう。
具体的にどの部分が悪い状態なのか分かるように書くと、患者さんも意識して歯磨きをしてくれますよ。
補助的清掃用具の使用を促す
歯ブラシを使っている方はたくさんいますが、補助的清掃用具と併用している方はとても少ないです。
歯間ブラシ、フロス、タフトブラシ、洗口剤、ウォーターピック、舌ブラシ、義歯ブラシ…などなど患者さんの口腔内に合わせて使った方が良い補助用具をオススメしましょう。
悪癖の改善
歯並びに影響する悪い癖
・頬ずえをつく
・何もしていない時に口が開いたまま
・舌で歯を押す
・歯と歯の間に舌を挟む
・指しゃぶり
咬み合わせに影響する悪い癖
・日中ずっと上下の歯を咬み合わせている
・歯ぎしり
・片方の歯でしかものを噛まない
もし患者さんに悪癖があった場合は、歯並びや咬み合わせに良くないことを伝えましょう。
食生活の改善・提案
・う蝕になりやすい飲食物を頻繁に摂取している場合、摂取回数を減らすと良いことを伝えましょう。
・歯の着色を気にされている方には、コーヒーやワインの摂取回数を減らす、または飲んだ後に軽くうがいをすることを提案してみるといいかもしれません。さらに着色しにくくなる「ホワイトニング用」「歯を白くする」と記載されているような歯磨剤の使用を促すのも良いです。
・酸蝕症になりやすいものを日常的に摂取している方には「お酢や栄養ドリンクをちょびちょび飲んでいると歯が溶けやすくなります」というような情報提供
患者さんの職業、生活環境によって食生活も大きく変わってくるので、できるだけ問診で情報収集をして患者さんが無理なく改善できる方法を探してあげましょう。
サプリメントの紹介
歯科医院と関係なさそうなサプリメントですが…歯周病菌と戦うための免疫力を上げるためには、腸内細菌を整えることが大切なんです。
人間の免疫細胞のほとんどは腸に存在しているので免疫力をすぐに高めたいという方にはロイテリ菌のサプリメントがオススメです。
摂取方法はヨーグルト・タブレットがあるので気軽に始められます。
患者様に不快に思われない書き方をしよう
絶対使わない!NGワード
言われたら傷つく言葉
他人に口の中をみられるだけでも恥ずかしいのに、歯科衛生士からズバズバ言われるのってショックですよね。
口の中がとても汚かったとしても、言葉を慎重に選んで書くようにしましょう。
私が使わないように特に意識しているワードは…
・食べかす
・汚い
・くさい
・磨けていない
分かりやすい言葉を使う
専門用語を使っても患者さんには伝わらないので、かみ砕いた言葉で書いています。
歯頸部→歯と歯ぐきの境目
プラーク→歯の表面についている白くて柔らかいもの
歯石→歯と歯ぐきの境目についている白っぽい固い塊
歯磨剤→歯磨き粉
う蝕→むし歯
知覚過敏→冷たいものがしみる
智歯→親知らず
上から目線に感じる語尾
「~してください」「~しましょう」のような語尾はいっけん礼儀正しい感じがしますが、なんとなく上から目線の印象を与えるので乱用しないように注意します。
私がよく使うのは「~していただけるといいです」「~がオススメです」という語尾です。
否定的な言葉
患者さんは一生懸命歯磨きをしていたかもしれないのに、歯科衛生士が指摘ばかりすると嫌な気持ちになります。
できるだけ否定的な言葉を使わず改善すべき部分を伝えるとよいです。
・奥歯が磨けていなかったので→奥歯は磨き残しが出やすい部分なので
・歯間ブラシの使い方が間違っていたので→歯間ブラシは左右の歯の側面に沿わせて
指摘だけで終わらせずに、正しい使い方を説明した文章にすると患者さんに好印象ですよ。
できている部分を伝えよう
実地指導をかくとき、ついつい患者さんの出来ていない部分やマイナス面に目を向けてしまいがちですが、綺麗に歯磨きができていてプラークが少なかった時や補助用具を毎日使用している方に関しては、「綺麗です」「使っているので素晴らしい」ということを伝えましょう。
指導することがないぐらいプラークコントロールが良好な患者さんには「歯周病を予防するために、引き続き丁寧な歯磨きをしていきましょう!」というようなシンプルなメッセージが良いかと思います。
今日の処置内容について記載する
歯石を大量に除去したときは「本日、下の前歯の歯石をとりました。」と伝えたり、Hys処をしたなら「本日、歯のシミ止めを〇〇に塗りました」などと記載しておくといいですね。
歯科衛生士実地指導用紙の例文
・本日下の前歯の歯石を取りました。数カ月するとまたついてくることがあるので、定期的に歯科医院で歯石取りをしていきましょう。
・歯の表面はとてもきれいに磨かれていました。歯の間に少し磨き残しが出やすいようなので歯間ブラシを1日1回は使っていただけるといいです。
・歯と歯ぐきの境目に歯ブラシの毛先を当てて磨きましょう。
・寝ている間に歯ぎしりをしていないか一度ご家族に確認してもらいましょう。もし歯ぎしりがひどい場合はマウスピースを作ることができるので次回来院した際にご相談ください。
・この歯(歯式に矢印)がしみやすいようなので、知覚過敏用の歯磨き粉がオススメです。
・下の奥歯の裏側に磨き残しが出やすいようです。歯磨きするときはこの(歯式に矢印)歯から磨いてみましょう。
・ジュースを1日に何回も分けて飲むとむし歯になりやすいので、まずは飲む回数を10回から5回に減らしていきましょう。(具体的に目標値を設定すると実行してもらいやすい)
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