歯科衛生士の私が実際に体験したパワハラ被害を告白

歯科衛生士のパワハラ被害

学生時代は歯科衛生士になるために必死に勉強し、晴れて歯科衛生士に。

就活もスムーズに進み、歯科医院で勤務できたところまでは良かったのですが、そのあとに待ち受けていた現実は理想とは程遠いものでした…。

今では歯科業界の人間関係の悪さやパワハラは日常茶飯事であると理解できていますが、当時まだ20歳になりたてで初心だった私は社会の闇を突き付けられた気持ちになり、その現実にとてもショックを受けました。

きっとこの記事を読んでいる歯科衛生士さんの中にも、心当たりがある方もいるかもしれませんね。

今回は私の人生にとって忘れたくても忘れられない最悪な思い出を振り返りながら、当時のことを書いていこうと思います。

就職活動を終え、晴れて歯科衛生士になった私。

就職活動中は面接前に医院見学ができたので、私は気になっていた複数の歯科医院に行くことにしました。(その中にのちにパワハラ被害を受けることになる歯科医院も入っている)

その医院に初めて伺った時、緊張してガチガチに固まっていた私に、先輩たちは皆優しく声をかけてくれ、質問をしても分かりやすく受け答えしてもらえたのでこのときはまだ良い印象しかありませんでした。

まさかパワハラをするような意地悪な人間がいるとは思わないぐらいいい人ばかりだったんです。

先輩の人柄だけでなく、医院の歯科衛生士のあり方にも魅力を感じていました。

歯科医師の補助という立ち位置ではなく、歯科衛生士が率先して予防処置を行える環境だったので早く社会人としてこの歯科医院で活躍したい!という思いが強くなっていました。

見学後は他の医院もいくつかまわりましたが、あの時のカッコいい先輩たちの姿が忘れられず、後日面接の日程を決め、その数週間後には面接を行いあっという間に内定をもらうことができました。

ここまでは本当に幸せな人生を歩めていたのですが…4月になっていざ仕事を一緒にし始めるとどんどん見えてくる医院の裏の顔…

「こんなはずじゃなかったのに」「私はこれからどうなるんだろう…」と一気に不安に駆られ、私の人生は少しずつ狂い始めていきました。


院内の人間関係の悪さに気付き始める

入職してすぐは道具の置き場所だったり、治療の流れ、医院のルールが何も分からない状態で覚えることに必死すぎて周りなんてまだ見えていない時期でした。

私の教育係をしてくれた先輩とワンツーマンになって教えてもらっていたこともあり、最初の数カ月は他の先輩とはほとんど関わることがなかったので、このときはまだ充実した忙しさを感じながら楽しく仕事ができていました。

しかし少しずつ独り立ちができる時間が増えていくと他の先輩と関わる場面も増えていき、それと同時に院内の空気の悪さを敏感にキャッチするようになってしまったのです…。

「あれ?もしかしてこの先輩たち仲悪い?」とか「この先輩、裏表激しすぎる…怖いな…」と感じることが増え、仕事で支障がでるぐらい人間関係が悪いため、新卒の私はかなり気を遣って仕事をしなければならない状況でした。

例えばA先輩とB先輩は直接会話をしないので私が仲介役をしなければいけなかったり、A先輩に教えてもらったやり方をしているとB先輩に間違っていると指摘されたりする感じで全くチームワークなんていうものはなく皆バラバラ…。

仕事が終わって家に帰ると体だけでなく精神的にもかなり疲れがたまっていたと思います。

でもまだこのときは他人事だった私。

人間関係の悪さはあるものの、私に直接被害がくることはなかったので何とか仕事は続けられていました。

しかし少しずつですが、ある一人の先輩歯科衛生士の私に対する態度がキツくなっていきます。

差別をする先輩歯科衛生士

入職して数カ月はあいさつ程度しか関わることがなかったC先輩と業務中も関わる時間が増えていきました。

最初のころは朝「おはようございます。」と挨拶すると「おはよう」と返してくれていたし、たまに質問したときも教えてくれていましたが、半年ぐらい経ってから明らかに他のスタッフと私の接し方が変わってきました。

あまりの態度の変化に驚いたのは、朝挨拶をしたら気づいているのに無視をされるようになったこと。

そして仕事中に分からないことを質問すると嫌な顔をされ、接し方が冷たくなりました。

喋りかけるなオーラを出されまくっていたので、まだ下っ端だった私はそんな態度に萎縮して「どう接すれば正解なんだろうか」「明日も嫌な顔されるのかな」「怒られないかな」と考えるようになり、毎日仕事に行くのが怖くなっていきました。

周りのスタッフを見渡してみても、私と同じように挨拶を無視されていたり冷たい態度をとられている人はいませんでした。

教育係をしてくれていた先輩にC先輩のことを相談したこともありましたが、「実は今までmintちゃんみたいに冷たい態度をされてきたスタッフがいっぱいいたよ。この先輩は誰かターゲットをつくって攻撃するんだよね…」とはじめてC先輩の素性を教えてくれました。

今までひどいことをされたスタッフは居心地の悪さを理由に自ら退職をするケースがほとんどだったのです。

こんな事実を知らされた私は明るい未来が全く想像できず、一人苦しみ悩み続けました。

まだ働き出して1年も経っていないのに辞めたいと思ってしまう弱い自分、もっと歯科衛生士としてやりがいや誇りをもって働きたかった思い、充実した毎日を過ごしたかった理想と現実とのギャップ…

色んな気持ちがごちゃ混ぜになり本当につらかったですが「C先輩のせいで私が辞めるのはおかしい」と冷静になり、ひどい態度をとられても自分のためだと思い休まず出勤し続けました。

1年間されてきた忘れたくても忘れられない具体的なパワハラ行為をまとめます。

  • 挨拶をしても無視をする
  • 分からないところを聞いても教えてくれない
  • 私が休憩室にいるのにエアコン・テレビの電源を勝手に切る
  • 担当したくない患者のカルテを回してくる
  • インカムで私にだけ注意をする
  • メインテナンス中にタイマーで時間をカウントされ、遅れると怒られる(他のスタッフにはやってない)
  • 業務中のダメなところを見つけると直接注意せず、他の衛生士やドクターに告げ口する
  • 言葉使いがとにかく悪い
  • 出勤時タイヤがパンクしたので1時間遅刻したら1日欠勤扱いされた
  • 今までやっていた業務をさせてくれなくなった

まだ新卒で仕事が早くできないことやミスをしてしまうことはあったので、そのことで注意を受けるのは当然だと思っていました。

そのためできないことを注意されて仕事が嫌になってしまうことはなかったのですが、注意の仕方や仕事以外での言動があまりにもひどいので流石に精神的に追い込まれていきました。

相談相手がいなかった

ターゲットにされる前はどこか割り切って仕事ができていましたが、ターゲットにされ自分だけに口調が厳しくなってきたことで「なんで私だけ…」と、どんどん気持ちが落ち込んでいきました。

初期の頃は他の先輩たちにC先輩のことを相談できていましたが、結局相談しても解決してくれるわけでもなく、ただ話を聞いてもらっておしまい…。

しかも日に日にひどい言動は増えていくので、忙しい先輩に毎回相談するわけにもいかず、自分ひとりで貯め込むようになっていきました。


院長は見て見ぬふり

1年間は何とか我慢することができていましたが、ある日理不尽なことを言われたことがきっかけで今まで貯め込んでいたものが大爆発しました。

それまでは院長にC先輩からされてきた陰湿な言動について話さずやってきていましたが、どうにもならない状況に追い込まれたことで、何か変わるかもしれないと僅かな希望をもってすべてを打ち明けることにしました。

しかし院長からはまさかの一言が…。

確かに至らぬところはあるけど、僕の思い描くものを形にしてくれるのは〇〇(C先輩)しかいない

完全にC先輩を守る発言だったのです。

院長にとって都合の良いC先輩が辞めないことのほうが大事なんだな…と、現状を変える気がないことがこの時にハッキリと分かりました。

過去にC先輩が原因で辞めていったスタッフは数えきれないほどいますが、院長が今回みたいにC先輩をかばっていたことを想像すると怒りを通り越して呆れてしまい「こんなところで自分の人生無駄にしたくない」と思って、私はその時に退職を決意しました。

辛い経験から学んだこと

結局最後は退職という流れになり何だか自分に負けた気分でモヤモヤしていましたが、今はそれでよかったと思えるようになりました。

新卒で入社した医院が最悪だったことで、次からは多少の嫌なことなら乗り越えられそう!とプラスに考えられるようになったし、退職してからはメンタル面を鍛えるトレーニングも始めたので確実に強くなったと思います。

人間関係では最悪だった医院ですが、仕事内容は歯科衛生士にとってとてもやりがいのあるものばかりだったので技術面では少しは成長できたかなと思っています。

あとは何よりこの自分の辛い経験を他の仲間にはしてもらいたくないので、人との接し方により一層気を配るようになりました。

歯科衛生士がずっと働きたいと思える歯科医院

社会人になって分かったことは、継続することの難しさでした。

仕事が嫌で出勤したくない日だってありますよね。でも病気でないなら休まず仕事に行くのが社会人としての責任。

当たり前のことだけど、それを何年も何十年も続けるってとても大変だし苦しい。

私も最終的には心が折れて辞めてしまったわけなので続けられなかった側の人間なのですが…。

今振り返ってみて感じるのはスタッフ同士(院長も含め)にもっと思いやりがあったら続けられたかもしれなかったなぁということ。

給料、福利厚生、仕事内容よりもまずは一緒に働く仲間がお互いに尊重しあい、助け合えることが1番大切だと思いました。

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