私はメインテナンスを担当したときは必ず患者さんに質問したいことがないか確認するのですが、その際によく聞かれることがあります。
「むし歯ってありましたか?」
新人歯科衛生士なら「ええ!急に聞かれても分かんないよぉ~~」とドキッとするだろうし、ベテラン域の衛生士なら「ここにむし歯ありますね~」とサラリと言えちゃいそうな…。
でも歯科衛生士が患者さんにむし歯の診断をするのって本当に良いのでしょうか?
歯科衛生士法をおさらいしよう!
歯科衛生士でも毎日歯を触っていれば、むし歯の見極めもできてくるので(デンタルでしか分からないケースは除く)歯科医師がいなくても判断できることもありますし、むし歯のなりかけとむし歯の境目みたいなグレーゾーンの場合は医師によって判断が変わってくることもあるため歯科衛生士だけで決めるのが難しい時もあります。
いずれにせよ歯科医師ではなく歯科衛生士しかいない状況で質問してくる時の話ということなんですが、私の答えは「むし歯の診断は法律上歯科衛生士はできないので、お掃除が終わってから院長に確認してもらいますね」です!
何ともうまい具合に逃げ切ったな…と思われた方もいるかもしれませんが(笑)真面目な話をすると歯科衛生士法では歯科衛生士が単独で診断するのは違法とされているんですよ。
患者さんから「むし歯ありますか?」と聞かれて、勝手に「はい、むし歯ありますよ」「いいえ、ありませんよ」と返したらアウト!!
しかしこれで解決~という簡単な話ではなく…歯科衛生士法ってすごくやっかいな法律で、歯科医師の指示のもとだったらむし歯の診断はOKになっちゃうんですよね。
院長から「むし歯あるか診て、あったら患者さんに伝えておいて」と言われた場合は合法ということです。
他にも院長に「〇〇さんに右下7番C(むし歯)だから次回CRするって伝えて」と指示されたときなんかも歯科衛生士から患者さんに伝えることはできるわけです。
この場合は診断をしたのは院長で歯科衛生士は伝達しただけなんですが、患者さんの立場からすると歯科衛生士から診断されている状況になりますよね。
ほんとメンドクサイ法律。笑
この会話が患者さんに聞こえるぐらい大きい声だったらいいんですが、もし2人しか聞こえないような場所で交わされていた場合、患者さんからしたら「歯科衛生士が診断してるけど大丈夫かしら?」と思われているかもしれませんよね。
むし歯の診断を歯科衛生士だけに任せっきりにしてしまう歯科医師はどうなんだろうか…という別の問題点が浮き彫りになってきましたが今回は触れません(苦笑)
患者さんから質問されなかった時に虫歯を見つけた場合は?
上記は患者さんから「むし歯ありますか?」と聞かれた時の対応の仕方について書きましたが、何も質問されなかった時はどうでしょうか。
私の場合はメインテナンス中にむし歯を見つけても患者さんには伝えません。
例えば右下7番にむし歯を見つけたとしたら、ブラッシング指導したり歯周検査結果について詳しく説明するだけにしていつも通りメンテを終えます。
ただこの指導のときに右下7番をよく磨いてもらえるような声かけを意識します。
そして業務記録に「右下7番C(むし歯)」と記載しておき、そのあとメンテ終了の報告時に院長にむし歯の部位も伝えます。
そうすれば院長が口腔内を診るときに右下7を念入りにチェックしてくれ、経過観察していくのか治療するのか判断します。
特にむし歯のなりかけorむし歯の判断が難しいケースの時は要注意です。
歯科衛生士はむし歯だと思って「ここがむし歯です」と患者さんに話をし、院長はまだ大丈夫だと思って「むし歯になりかけている」と伝えてしまうなんてこともあるかもしれません。
そうすると患者さんは不信感を抱くと思いませんか?
「歯科衛生士はむし歯というし、院長はまだなってないというけど一体どっちなの!?」と…。
クレームにつながる可能性もあるので、私はいつも先走りすぎないように気を付けています。
歯科衛生士法の改正をして、歯科衛生士でも診断OKにするか完全NGにするか白黒ハッキリしてもらいたいところですよね…。
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